精度向上
Improved accuracy

水中の
大型漁網に精度を

漁網を運用する事業者を不安にさせるのは仕掛けている網が水中で本当に想定通りの形を保っているかどうか。日東製網はこれまで見ることができなかった網の状況をシミュレートするシステムで貢献します。

漁業の課題

水中の網漁具の
形状はわからない

漁網は狙った魚種を効率よく獲るため、漁獲に適した形状や動きを考え抜いて漁場に設置されます。しかし、網は全長数百~数千m、深さ数十~数百mにも及ぶ大きさを持ち、かつ自由に変形する構造物です。 これが海中で潮流や波浪の影響を受けることから、実際の漁具の形状は常に大きく変形していることが予測され、最初に想定した形状や動きを保持できているかどうかを知ることはほぼ不可能でした。

模型を作製して
予測を行うが…
底枠2ノットでの水槽実験

この問題を解決するため、従来から漁具の縮小模型を用いた水槽実験が行われてきました。 しかし、模型実験において信頼性のあるデータを得るためには、大規模な実験水槽設備や精巧かつ模型則(縮尺の違いによる物理的影響を軽減するための法則)に忠実に従った縮小模型の設計・製作が必要となります。その製作には大変な労力・費用・時間を要するため、そう簡単に行えるものではありませんでした。

私たちの発想

水中の網の動きを
PC上に再現
できないか

日東製網は近年のコンピュータ性能の向上を活かし、運用中の網漁具の形状や作用荷重をコンピュータ上でシミュレートして把握するシステムに挑戦。 網が水中でどんな形をしているのか、網のどの部分にどれだけ力がかかっているのかを正確に知ることができれば、その状況を踏まえてより最適な網を設計することが可能になります。このような試行錯誤を北海道大学との産学連携で続けた結果、NaLAシステム(網漁具水中動態解析システム)を実現しました。

解決策

見える化する
網漁具水中動態
解析システム

NaLAシステムを活用した漁具シミュレーションによる解析は、特別な模型や実験装置を必要としないため、定置網や旋網などさまざまな事業者に幅広く活用されています。 例えば網を改造したい事業者の要望に応じ、事前に想定通りの網なりになるかどうかを漁具シミュレーションで調べれば、改造のコストに見合った効果を得られるかどうかが設計段階で予測でき、事業者は積極的に投資に踏み切りやすくなります。

計算条件 入力と結果

最初に網漁具図面を元に基本の形を作成し、網の材質や目合などの情報を入力(モデリング)。これに対して潮流や波浪など環境による数値(計算条件)を与えることで、実際の網がとりうる形状や動きを具体的にシミュレートすることができます。

旋網漁具をナイロン仕様(左)からポリエステル仕様(右)に変更したときの比較の一例。網の沈降がどの程度変化するかを事前に数値的に把握することができ、沈めたい目標深度に応じて、どのように材質を変更すればよいかなどの検討が可能になります。