災害対策
Disaster countermeasures
予測できない
自然災害に備えを
漁業は、思い通りにならない自然の脅威を避けるノウハウや技術を蓄積することで発展を遂げてきました。日東製網は現代においてさらに、災害を防ぐ新たな技術を開発。自然の脅威にさらされる養殖業を変えていきます。
養殖業の課題
気候変動の影響で
自然災害が多発化
地球温暖化によって台風など自然災害の頻発化、激甚化が懸念されており、沿岸に生簀を設ける養殖業は特に甚大な被害を受けるリスクが高まっています。 例えば、2013年に100年に一度と言われる超大型台風に襲われたフィリピンでは、主要産業である漁業や養殖業が壊滅的な状態に。多くの生簀が設置されていた養殖場は、生簀が飼育魚ごと流され、一つも残らなかったそうです。
施設の強度を
高めようとすれば
コストが課題に
台風が発生すると養殖業は生簀にも飼育魚にも被害を受けます。波の影響を受けにくい静穏な海域に生簀が設けられれば理想的ですが、最適な海域はすでに利用されていることが多く、新たに事業をはじめようと思えばリスクの高い海況の厳しい場所を選択せざるをえません。 しかし、施設の強度を高めようとすれば、対策にかなりのコストがかかるため事業の採算が取れなくなるという悩みが発生していました。
私たちの発想
生簀を沈めることで
台風の影響を軽減
できないか?
日東製網では対策コストを抑えつつ、厳しい海況でも養殖可能な方法を追求。その際に注目したのが「台風などの荒天時に生簀を沈める」という方法です。 波の力は海面付近では強く、海中では小さくなります。お客様が任意のタイミングで生簀を海中に沈めることができれば、施設だけではなく、生簀の中の大切な飼育魚も台風の影響を軽減することができると考えました。
解決策
荒波の
影響から逃れる
浮沈式生簀
私たちが実現した浮沈式養殖技術は、浮体となる高密度ポリエチレン製のパイプ内の水と空気を置き換えることにより、浮力と沈降力をコントロールすることが可能です。バルブを開放すれば浮体に水が流入して海中に沈下し、コンプレッサーで浮体に空気を入れると水が追い出され海面まで浮上します。 この制御により、荒天時の波の影響から逃れることが可能に。いままであまり利用されていなかった海況の厳しい海域でも養殖を行えるようになりました。
前述のフィリピンにおいても、日東製網は被災地復興支援のために浮沈式養殖技術を現地事業者に提供。現地で入手可能な資材を用い、現地の労働力で実施できる方法を考案し、提供することで住民の手による本当の復興を支援してきました。
浮沈式養殖技術は災害対策以外にも利用されています。例えば、海面と比較して水温の低い水深に生簀を沈めて魚を飼う適水温域飼育、赤潮による被害からの回避、飼育魚の紫外線による日焼け防止などにも効果を発揮します。